ポプラポケット文庫「がんくつ王」 感想メモ

Fate/GrandOrder」とか「黄雷のガクトゥーン」のネタを交えたりする純粋な作品感想には程遠いスタイルの感想メモだよ!
読み終わった勢いからぐだぐだ書いてたら5時間くらい経ってたし総文字数は6200文字以上になってた。……なんで?

がんくつ王 (ポプラポケット文庫 (411-1))

がんくつ王 (ポプラポケット文庫 (411-1))

 


購入動機(不純):
本屋を5軒廻ったけどカルデアエースが売ってなかったのでむしゃくしゃして買った(予約してないのが悪い)。再販分はちゃんと予約しました。


読む前のざっくりとした理解:
船乗りのエドモン・ダンテスは婚約者のメルセデスとの結婚式の最中、彼を良く思わない人物たちの陰謀によって無実の罪で逮捕されてしまう

一度入ったら出られないシャトーディフという監獄に投獄されてしまい、絶望する

その後同じく無実の罪で投獄されていたファリア神父と出会い、いろんな知識や「モンテ・クリスト」という場所にある財宝の存在を教えてもらう

なんやかんやで脱獄に成功し、見つけた財宝を売って伯爵になる(その際、財宝の在り処であるモンテ・クリストを名乗るようになる)

自分を陥れた人物に対し復讐を行う(お世話になった人に対しては今まで通り優しかったり、復讐相手の子供とかの"直接の復讐相手以外"にはちょっと甘かったりもするらしい)

いろいろあって、復讐に使うため育ててきたエデという女の子から結婚を申し込まれて承諾する(めでたしめでたし)


読んだことによって補完された描写:
※「ダンテス」「ファリア司祭」などの表記は作中準拠なアレです
・陥れた側の視点(具体的な手口や心情 ※心情は復讐が始まってからも)
・投獄されてからどういう風に絶望していったのか
・ファリア司祭のすごさについての具体的な描写
・ファリア司祭になぜ自分がこんな目にあってしまったのか推測してもらって「あいつらの仕業かよ! ユルサネー!!!!」ってなるダンテス
・お世話になっていた船主への恩返し
・復讐の具体的な手口
・ダンテス投獄後のメルセデス
・アルベールの視点
・変装スキルの発揮っぷり
└これ書いてる時に気付いたんだけどFGOの「巌窟王」ってスキルはここから来てるのか
└別のところだけど「忘却補正」に関する描写も出てた。ゲェーッお前は! 的なアレだよねこれ?(ピクシブ百科事典を参照しつつ)


部分部分に言及していく箇条書き感想コーナー:

※多少順番が前後しているかもしれない

・挿絵の絵柄がめっちゃ濃い(濃い)。
└ファリア司祭は「ゼウスか?」ってくらい強そうでヤバい(ヤバい)。

・序盤のダンテスが完全にへたれ系ノッブボイスで喋ってる…(幻聴)
└『いたずらっぽく笑』いながらお父さんに抱きつくダンテス
└『まるで天国にでも行くような足取りで』メルセデスと一緒にその場を去るダンテス

・騙されてシャトーディフ行くまでのところがアレすぎて何度か脇腹の辺りがヒエッとなった
└着いてから"他の囚人"が壁を掘り進める音が聞こえるまでの描写もなんかもう…すげえ絶望したんだなって…。

・P.57-58

どんな身分の高い人と会ってもはずかしくない教養をもったおとなのダンテスが生まれようとしていました

表現が謎にツボる。
言い方!(「本格派!!!」の笑い方で ※あらゐCITY)

・ダンテスだけじゃなくファリア司祭も救われてるやんけ!!!(互いが出会えたことについて)

・「キス」を「せっぷん」と書いたり驚くときの一言目が「ああ!」とか「おお!」だったりする辺り「なるほど'86年出版…」といった感じ
└『弱き者、なんじの名は女なり!(P.85)』 ←言い方~!

・死体と入れ替わったら海に放り出されてしまった場面での「助かって~~~!!!!(切実)」感

・「マルタ」に反応してしまうFGOユーザーが私だ!

・ヤギって野生に居るんだ…(まあそりゃいるわな)

無人島に居残るためにわざと怪我するのすごいね!?(クレイジーすぎる)
└って思ったけど確認のために読み返したら怪我したフリだった(よかった)

・恩返しの一連の流れで思ったんだけど、FGOのエドモンの「気付かれづらく回りくどい手段で好意を表現する」みたいなところ(キャラクエとかバレンタインのカップの模様とか)はこういう描写から来てるのかな
└ここは記事投稿してから付け足しました(もう少し早く気付きたかった)

モンテクリスト伯爵(その他変装ダンテス)、どんなに笑顔でも背中に「ゴゴゴゴ…」って効果音が付いてそうな感じがする
└アルベールの視点から見た伯爵の強キャラ感がやばい

・「ローマ」に反応してしまう以下略

・P.130

「アリ、おまえ、投げ縄をつかえるか?」
アリはこっくりしました。
「そうか、ではまもなく馬車がくるったように走ってくるから、それをとめろ、わかったか?
アリは自信たっぷりに胸をたたきました。

かわいい(ディズニーの短編アニメとかトムとジェリーみたいな動きで脳内再生される)

・人物の名前と役回り覚えられねえよ!!!!
└一応登場人物紹介ページはあるけど本当に主要な人物しか書いてない(重要だけどサブキャラっぽいって感じの人物は書いてない)ので少し困った。
└そうです勢いで読みました!!!!

・人間関係の把握も面倒くせえ!!!!
└これも勢いで読む作戦によって力技解決をキメ込みました。おかげで状況の把握具合がめちゃくちゃのぐちゃぐちゃだった…(是非もないよネ)。

・やっぱりコーヒー飲むんだ!(148ページ)
└飲むというか人に出すというか

ブゾーニという名前の司祭に変装したダンテスが復讐相手に襲われる場面にて
P.166

いきなりカドルッスはふところのナイフをぬくと、
「ちくしょう! くたばれ!」
といってきりかかりました。だが切っ先はぐにゃりとまがり、手をねじあげられました。おそろしい力です。司祭は相手をねじり倒し、顔に頭をのせ、
「このまま、ふみつぶしてやろうか!」

ぅゎダンテスっょぃ
└『切っ先はぐにゃりとまがり』 ←どういうことだよ(どういうことだよ)

・伯爵になってからも髪の毛黒いまま(白くない)なんだ!?
└某新宿鯖も原作と特徴違うらしいしまあ(まあ)
└設定上意味があるものなのかデザイン的なものなのかは分からないけどなにか色々あるんだろうなといった感じのアレ

・トドメ刺す時の「俺やぞ!!!!(要約)」的な場面、読んでるときはそうでもなかった(静かな物悲しさみたいなのはあった)んだけど、いま読み返したら「ヒュー!(イエーイ!!!!!)」って感じだった

・「ここ好きなんで長めに尺取ります」って感じの場面の引用アンド良さみポイントの解説(になってない)いきます
※流れ的には同じ場面だけど引用箇所と引用箇所の間に省いている記述があったりするので全文ではないです

P.193

メルセデス……メルセデス! ああ、この名を口にすると、思わず楽しい気持ちになる……しかし、だめだ! 許せない! あなたは牢獄がどんなところかわからない。恋人をうばわれた者の心が、父を餓死させられた者の悲しみが、あなたにはわからない!」
「ええ……わかりません。でも、自分の愛する人が、息子を殺そうとしている。これだけはわかります。」
 その絶望しきった声! 真に強い人間は、けっして弱い者を苦しめることなどできないのです。伯爵は自分が敗れたのを知りました。しかしあきらめるには、あまりにつらいことです。ひと筋の涙がかれのほおを伝わりました。


P.194

伯爵はせまりくる新たな涙を見せまいと、横をむきました。そして一人になると叫びました。
「ああ、おれは、ふくしゅうを誓ったとき、心臓をむしりとっておくべきだったのだ!」


P.194-195

しかしよく朝、覚悟を決めてヴァンセンヌの森に立った伯爵の前で、アルベールは手をさしだしながらいいました。
「伯爵、お許しください。ぼくはあなたをにくみ、ふくしゅうしようとしました。しかし今、あなたは父フェルナン・モンデゴにふくしゅうする権利があることを知りました。わたしは、あなたが今までなさった以上のことをなさらなかったことを、感謝するとともに、昨日からの非礼をおわびしたいのです。どうかこの手をにぎってください。」
 あっけにとられた立会人たちをしりめに、伯爵は力強くその手をにぎりかえし、にっこりと笑いました。
 かれの心は、神と、その使い手のように行動した母メルセデスへの深い感謝の念でいっぱいだったのです。
 アルベールは立会人たちにいいました。
「諸君、伯爵はぼくを許してくださった。たしかにぼくの行為はひきょうに見えるかもしれない。しかし、もしぼくを笑う者がいたら、たとえ君たちでもようしゃはしないぞ!」

 

メルセデス……メルセデス! ああ、この名を口にすると、思わず楽しい気持ちになる……
↑ここ好き(ニコニコしちゃう)

>しかし、だめだ! 許せない! あなたは牢獄がどんなところかわからない。恋人をうばわれた者の心が、父を餓死させられた者の悲しみが、あなたにはわからない!
↑「それでも自分は復讐者に徹する」という強い覚悟が辛い

>ええ……わかりません。でも、自分の愛する人が、息子を殺そうとしている。これだけはわかります。
>その絶望しきった声!
↑ダンテスが辛いんだもんメルセデスだって辛いよな…(つらい)

>真に強い人間は、けっして弱い者を苦しめることなどできないのです。伯爵は自分が敗れたのを知りました。しかしあきらめるには、あまりにつらいことです。ひと筋の涙がかれのほおを伝わりました。
↑あああああああああ

>伯爵はせまりくる新たな涙を見せまいと、横をむきました。そして一人になると叫びました。
>「ああ、おれは、ふくしゅうを誓ったとき、心臓をむしりとっておくべきだったのだ!」
↑辛いけどフフッとなってしまう(ダンテスの人間味みたいなところが微笑ましくて笑ってしまう…のかなあ)

>しかしよく朝、覚悟を決めてヴァンセンヌの森に立った伯爵の前で、アルベールは手をさしだしながらいいました。
>「伯爵、お許しください。ぼくはあなたをにくみ、ふくしゅうしようとしました。しかし今、あなたは父フェルナン・モンデゴにふくしゅうする権利があることを知りました。わたしは、あなたが今までなさった以上のことをなさらなかったことを、感謝するとともに、昨日からの非礼をおわびしたいのです。どうかこの手をにぎってください。」
>あっけにとられた立会人たちをしりめに、伯爵は力強くその手をにぎりかえし、にっこりと笑いました。
>かれの心は、神と、その使い手のように行動した母メルセデスへの深い感謝の念でいっぱいだったのです。
↑ダンテスに対して素直に謝れるアルベールはとてもすごいし、裏切られてもおかしくない状況なのに『力強くその手をにぎりかえ』して『にっこりと笑』うダンテスもすごい…。すごすぎる…。

>アルベールは立会人たちにいいました。
>「諸君、伯爵はぼくを許してくださった。たしかにぼくの行為はひきょうに見えるかもしれない。しかし、もしぼくを笑う者がいたら、たとえ君たちでもようしゃはしないぞ!」
は~????? これが卑怯であるもんか~~~~?????(謎ギレ)
「なんか決闘のルール的に試合放棄って卑怯・失礼にあたる行動なんだろうな」ということは感じ取れるんだけど「お前…これが卑怯なワケあるかよ~~~!?!?!?!?!??」って感じ

以上長尺コーナーでした(スタジオにお返しします)

・「黄雷のガクトゥーン」のアルベールは「巌窟王」に登場するアルベールが元ネタ…ということは知っていたんだけど、実際どんな人でどんな役回りなのかまでは知らなかったから「ほほー…」って感じだった
└ガクトゥーンの方の彼(の家事情)はどうなっているんだろう? シャイニングナイトで少し語られてた(自分のプレイした範囲)けどもう少し詳しく知りたい
└あの世界のモンテクリスト伯がどんな感じなのかも気になる(スチパンWikiの登場人物一覧を見る限りでは確認できなかった)

・ダンクラールにトドメ刺すところの手口がひどいwwwwwww
└給仕の台詞のテンションがウザすぎるwwwwww

・このバージョンはエデと結婚しないんだね!?
└あと『待て、そして希望を持て(P.231)』なんだね!?

・(訳者あとがきから)原作二千ページ超えってマジか…
└この本は230ページくらい(本編以外は除く)
└原語なのか翻訳版なのかは分からないけど、原語だとしたら日本語に訳すともっとページ数増えるんだろうな…ヒエェ
└要約も含めて「訳者の方ありがとう!」って感じだ

Twitterで見かけた「要約しきれないんで最後はボカすぜ! 良ければ大人になってから原作読んでくれよな!!!」ってやつとは別なのかなコレ
└それっぽいことは書いてあったので見かけたツイートが多少記憶違いを起こしている可能性はある

・章タイトルの「ふくしゅう第一号」「のろわれた家」「恐怖の晩さん会」について
└チャー研感ない?

読書メーターからAmazonの商品ページ見てたら他のレーベルからも別の訳者のダイジェスト版が出ていることを知ったので他のやつも読んでみたい。
└学研プラス版のが最近の本っぽさあって読みやすそう(出版された年や表紙のイラストはもとより訳者の人が最近のディズニー映画の子供向けノベライズとか翻訳してたりするみたいなので文体の平易さに期待が持てる)。平行して読める解説ページも付いているようなので尚更…。

・この機会にずっと調べそびれていた「巌窟」の意味を検索してみた
└「ほら穴」って意味なんだね!!?
└「モンテクリスト島モンテクリスト伯爵」からずいぶん範囲狭めて来たなオイ!?


感想書きながらWikipediaのページ(原作)を開いて眺めるなどしていた
※2017/04/19 午前9時くらいまでの版を閲覧

モンテクリスト島って一応実在するのか…(ヤギの写真も会った)
・端折られてる描写も多いのかな?(ルイジ・ヴァンパと出会う時のエピソードとか無いし)
・財宝の価値は『現在の日本円にして約60億円』とのこと
└何十億とか聞いてもブルゾンちえみしか浮かばねえよ…(そもそも人口だしコレ)
└「探さない…待て、しかして希望せよ!」とか浮かんだのでもう駄目(読み終わった勢いで4時くらいからひたすら書いているので頭が駄目)
・派生作品多すぎィ!
└「日本巌窟王」の「江戸時代が舞台」という記述を見て「江戸モン・ダンテス!」ってなる人自分以外にもいるだろこれ(あとFGOユーザーだと個別ページのあらすじ紹介にある"島原の乱"というワードに反応しそう、自分はした)。ところで「葵月之介」ってお名前格好良いですね
└アニメのやつはFGOやる以前から気になってはいるんだけど観る機会になかなか恵まれないでいる…(衛星放送でちょっと見かけた程度)


無理矢理なまとめ
読んでみて「(FGOの)エドモンやっぱりめちゃくちゃ良い奴なんだな…」という認識が強まった。
もともと良い奴な上に恩返しマン(+深い絶望を知っている)だし、監獄塔の一件なんて経たらそりゃ何度も助けに来るよね…(ファリア神父みたいになるため頑張るぞ的な部分も合わさったら余計にだよね)。
今回読んだ本は原作のダイジェスト版みたいな感じのやつだけど、どういう復讐したとか今まで知らなかった部分がちょっと分かったのでカルデアエース付属のドラマCDはそのへんの差異も含めて楽しみたいと思います。Amazonからの発送連絡を待て、しかして希望せよ(具体的には一ヶ月くらい)。
 

Fate/Grand Order カルデアエース

Fate/Grand Order カルデアエース